「元気が良い」「雰囲気が良い」だけでは不十分 国際大会で勝つための本物のチームワークとは

December 2, 2017

 各選手の一投一打に対し、ベンチから大きな声が飛び出してくる。

「オッケー!いいぞぉ!」

「ナイスボール!」

「ここで打って返そうぜ!」

「ファイト~!」

 12月2日、関東会場でのトライアウト(二次審査)。3チームに分かれ、変則6イニングごとの総当たりで行われたゲーム形式の練習では、それぞれのチームがしっかりとまとまり、活気の良さを見せていた。

 ともすれば目の前の個人成績にとらわれがちなトライアウトにおいて、こうした雰囲気は決して悪いものではないだろう。野球においてチームワークは不可欠な要素。国際大会となればなお、全員が一丸となって世界の強豪と戦わなければならない。もちろん馴れ合いは良くないのだろうが、それぞれが「日本代表に入れるかどうか」という勝負をしに来ているわけだから、独特の緊張感があるのは言うまでもない。ただ――。

試合後、橘田恵監督は選手たちを集めると、ビシッと言い放った。

「ただ(その場を)盛り上げるっていうのはダメ。試合になれば、盛り上がるのは当たり前。だから(守備から帰ってきたベンチ前で)集合して(円陣を組んでわざわざ)『さぁ行こう!』って言う必要はない。それよりも投手の特徴とか『初球は甘いところから来ていたよ』とか、そういう情報を交換する。そうやってコミュニケーションを取ってほしい」

 指揮官が目指すのは、その場で求められていることをそれぞれが考え、柔軟に対応していく野球。その中で“チームワーク”についてはこう解釈している。

「元気が良いとか、雰囲気が良いっていう盛り上がりでは何か突発的なこと、アクシデントが起こったときにすぐ(チーム全体が)シュンとなってしまうと思うんですよ。でも1つのポイントに対して、これを全力でやろう、次はこれをやろうってテーマを決めていけば、それに集中するので(自然と)緊張感がほぐれていくというか、集中することによってチームが一つになっていくと思うんです。そして、ここぞというワンプレーができたことで、さらに雰囲気が良くなっていく。そういうスタイルを築いていきたいんです」

 一次審査(書類+動画)を突破した選手たちだから当然、一定のレベルには達している。誰が選ばれたとしても、それなりのチームを作ることはできるだろう。だが、それはあくまでも個々の身体能力の話。大切なのは、どうやってチームとして仕上げていくか、だ。

 では、国際大会で求められる本物のチームワークとは何か。今回のトライアウト受験者における最年長で、代表キャリア豊富な金由紀子選手は、こんな想いを語ってくれた。

「代表チームも最初は個々の集まりなので、あるときは大学選抜チームに負けたりしたこともありました。でも、負けというのを糧に少しずつ一丸となっていくんだと思います。そして、最後はみんな『チームのために』という想いが出てくる。もちろん野球ですから一対一の勝負に勝たないといけないんですが、試合に出ていないときに何をするかもすごく重要なんです。自分が試合に出ているときに、控えに回った選手がいろいろやってくれたりもしていましたし、その存在はすごく大きかったですね。トライアウトでは、最初はみんな緊張して声も出さなかったりとか、自チームでやっている野球との違いに戸惑ったりもすると思うんです。だから(自分も含めて代表入りを)経験している人たちからどんどん声を掛けてあげることが大事。トライアウトで緊張しても仕方ないので、そこは楽しんだほうがいいと思うし、『サード!』とかポジションで呼ぶのではなく、下の名前で呼んだりすることでコミュニケーションを取れる部分もあるのかなと。それだけで雰囲気もまったく変わるし、笑顔も出てくると思うので、そういう接し方は意識しています。そして若い選手たちには、先輩たちがいろいろなものを積み上げてきてこそ今があるんだということを忘れずにプレーしてほしいですね」

 本番の「第8回WBSC女子野球ワールドカップ」が行われるのは約8か月後。さまざまな取り組みを経て、本物のチームへと昇華していくプロセスが楽しみだ。

 

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